水彩画に挑戦してみたいと思ってはいるものの、少し敷居が高いと感じる方も多いのではないでしょうか?しかし、初心者でも気軽にスタートできるヒントがあります。 手軽に楽しむことのできる水彩画は、基本となるコツを掴めばどなたでも簡単に楽しめるのです。 このページでは、初心者にも扱いやすい水彩画の基本技法のひとつ、「ぼかし」についてご紹介しています。
水彩画テクニック:ぼかし効果で風合いを出す
水彩画におけるぼかし作用は、作品に柔らかなタッチや奥行きを添えるのに適しています。たとえば人物画の場合、背景にこの手法を取り入れることにより、視界が優しいムードや微妙な感覚を盛り込むことが可能になります。また、風景画では、写実的な深みを描出するのに有効です。
このぼかし技法とは、ふんわりとしたグラデーションを駆使した描画法のことを指し、水彩画ならではの独特な表現が実現します。アーティストは、筆遣いや水の量を調節することで、この効果を操ることができます。次に、この『ぼかし』をどのように行うのか、手順をご紹介します。
薄く絵の具を塗るコツ
始めに、紙に薄い濃度の絵具を塗るか、水を刷毛で塗布します。大切なのは水分を惜しみなく使うことです。塗る量が不足していると、後ほど行うぼかし作業がうまくいかないため、しっかりと湿らせることを心掛けましょう。
濃い色を順に重ねて塗る
はじめに塗った色よりも濃度が高い絵の具を塗布しましょう。異なる複数の色を層にしていく際は、徐々に色の濃度を増していくことがポイントです。
色彩の調和を生み出す水墨技法
絵の具を塗布した直後のまだ乾いていない状態で、水を染み込ませた筆を用いて色彩の接合部をやわらかくぼかしていく方法です。この際、色彩の区切り部分を水で細かくジグザグに伸ばしながら作業することで、なめらかで自然なグラデーションを作り出せます。使用する筆は平らに構え、濃淡の濃い部分から薄い方向へと徐々に塗料を延ばしていくのがコツです。
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ぼかし技術の極意
見事なぼかし効果を生み出すためのテクニックには、様々なコツが存在します。それぞれのポイントを順にご紹介しますので、ぜひ活用してみてください。
豊富な水分で絵の具を溶かすコツ
まず最初に覚えておきたいのは、「絵の具はしっかりと水を使って溶かす」ということです。絵の具に水が不十分だと、塗っている途中で乾き、希望するようなぼかし効果を得られません。どれくらいの水分が適切かと言うと、塗料が紙上でわずかに流れるほどが理想です。塗った際に絵の具がうまくのらないのは、水が足りていない証拠です。そのため、使用前にパレットで適量の水を加えて絵の具を十分に溶かして準備をしておきましょう。
迅速なぼかし技術
次のポイントは、『塗料が硬化する前に迅速にぼかす』ということです。塗ったばかりのペイントは放置すると乾燥してしまうので、スピーディーにブラシを動かしてぼかしましょう。この工程はなかなか難易度が高いですが、時間との勝負ですから大胆な挑戦が大切です。手際よくできるようになるまで、反復練習するのがおすすめです。
水の量を微調整してうまくぼかす方法
水彩画で綺麗なぼかしをするための三番目の秘訣は、「筆に含む水の量の調整」です。ぼかし効果を出す際、水の量が多過ぎたり少な過ぎたりするのは避けたいところです。筆先から水がたれるほどでは水量が過剰です。水が多すぎると、塗った箇所で色が濃い方向へ流れてしまい、狙ったぼかし効果が得られません。逆に水量が不足していると、思ったようにぼかしを施すことが困難になります。ペーパータオルやティッシュなどを利用して、掛ける水の量は事前にコントロールすることを心がけましょう。
バラを描きました🖌️
面相筆の使い方とぼかしを練習しました。#透明水彩 #水彩画 #水彩 #植物画 #バラの絵 #watercolor #アナログ絵描きさんと繋がりたい #painting #art pic.twitter.com/kPVguuobdx— 17moon (@17moon4) November 25, 2023
ぼかし効果による表現の魅力とは?
ぼかしという手法を用いることで、さまざまな芸術的効果を創り出すことが可能です。これらの効果には、次のようなものがあります。
- 柔らかく穏やかな印象を与えることができる
- 作品に深みを与えるための奥行き感が表現可能になる
- 繊細な光と影を描き出してリアリティを高める
以上のポイントは、特に水彩画のような手法においてその効果を十分に発揮します。それでは、これらの各要素について掘り下げて説明していきましょう。
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水彩画による穏やかな雰囲気の創出
水彩画は、柔らかなイメージを与えるその特長により、他の絵画技法、例えば油絵とは異なる独特の透明感を持っています。その透明度の高さは、水で薄めて使用する水彩絵の具が持つ、繊細な表現力から来ています。この技法によるぼかしを背景に取り込むことで、絵全体に柔和な空気をもたらすことができるのです。
画面に深みを与えるぼかしテクニック
背景にぼかしを取り入れることで、画面が立体的に感じられるのです。遥か彼方に広がる青い空や、果てしなく連なる山並みまで、ぼかしを使用することにより、リアルな遠近感が表現できます。この効果は、薄めに塗布された絵の具を活用することで創出されるのです。
ぼかしによる立体感の演出
ぼかし技法のもつ独特な特性として、色彩の濃淡が自然に変化するグラデーションがあり、これにより絵画において深みと影の効果を加えることが可能になります。同一の色相を使用しながらも、色の濃度を変化させることで見事な立体感を作り出すことができるのです。明るい色と暗い色を駆使することでも立体感は創造できますが、ぼかしによる単色の深みで表現される陰影は、特にその長所として挙げられるポイントでしょう。
〔基礎練〕
水彩で雲を描く
上から、
ぼかし
ティッシュ
オックスゴール
で描いてみました。
描きたい雲や空模様によって使い分けできそうですね☁️
紙:ウォーターフォード中目
絵の具:クサカベさんのコバルトブルー#水彩 pic.twitter.com/93m1prKgZ3— 植村真子_絵本とイラスト (@mamemako429) January 17, 2023
背景を描くときの注意点
背景の描画には様々なテクニックがありますが、特に心に留めておくべき点が存在します。それは水彩画特有の事柄です。一般に、水彩画においては、一度塗布した色の上に後から新たな色を塗って覆い隠すことは難しいのです。この点について、詳細にわたりご説明します。
背景を描くタイミング?風景と人物で異なるポイント
画作りの過程において、風景作成は先行し、一方で人物絵の背景は後回しにすると良い成果が期待できます。
始めに、風景画の手法について述べると、広範囲に及ぶ薄い色調の背景からスタートすることでミスを減らすことができます。絵に深みを出すためには、遠近感を考え、前景に進むほど徐々に色彩を濃くしていくのが鉄則です。具体例を挙げると、まずは淡い色合いで空を塗り、次にはより遠くに配置される山々を描き、最後に前景の木々の幹や葉をより鮮やかな色で仕上げます。
対照的に、人物画では主役となる人物部分の描写を先に行います。その後、描かれた人物の雰囲気や配置のバランスを見極めながら、背景の構成に進みます。塗る際は、色の濃淡を適宜調節することが大切です。
暗い色への調整は難しい
水彩画を描く際は、明るい色からスタートして、その後で暗い色を重ねると良いでしょう。理由は、最初に暗い色を使ってしまうと、その上に明るい色を塗っても効果が得られづらいからです。例えば、先に黒を使ってしまいますと、鮮やかな明るい色や淡色を後から塗っても、望むような発色は期待できません。水彩画で美しい絵を仕上げる秘訣は、先に明るい色保存しあなたの絵を塗るときに奥行きと立体感を出すことができるよう、このポイントを心得ておきましょう。
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“ぼかし”と“にじみ”の違いについて
「ぼかし」とは色を段階的に変化させる技法であり、「にじみ」とは絵の具が自然と広がっていくような効果を指します。二つは表現示に類似しているものの塗り方に微妙な差異があります。
ぼかし技法では、基本的に塗布した色をさらに水で濡らし、エッジをぼやけさせていく手法です。これにより、濃淡をつけた滑らかなグラデーションが形成されます。
一方でにじみは、既に塗られた色の上に水分を多く含んだ別色を点置きし、自然と広がらせることで独特な模様を作り出します。
ぼかしは立体的な影の表現に適しており、にじみは柔らかな模様を出すのに向いており、例えば天の表現などに役立ちます。
ここでは水彩画における背景のぼかし方をご説明しましたが、おさらいすると、以下の順に進めます。
- 絵の具を薄く塗る
- その上に濃い色を重ねる
- 境界を水でなじませる
ぼかしもにじみも、完全に乗からないとでき上がりが見えないため、制作過程が刺激的です。
水彩画を新しく始めようと考えている方には、積極的に挑戦することをお勧めします。
本稿紹介の方法を実践していただき、水彩画の幅広い表現技法を楽しむことができればと思います。